Advantages
・発症前のリスク評価:認知症リスクが低いSIGLEC-Xの遺伝子型の有無を特定可能であり、自身の遺伝的要因を客観的に把握することを可能にする 。
・新規創薬への期待:脳内免疫細胞におけるシグレックの機能促進を標的とした、新たなアプローチでの治療薬開発への応用が期待される。
・他疾患への拡張性:SIGLEC-4と胆石、SIGLEC-6と心筋梗塞など、シグレック遺伝子多型と生活習慣病や自己免疫疾患のリスクを網羅的に予測可能である。
Current Stage and Key Data
・TMM約38,000人規模のコホートデータ(ゲノム・臨床情報)の解析を完了。
・SIGLEC-X多型(3群)とパーキンソン病/認知症有病率の相関を見出している。
TMM 3.8万人データベース解析による知見
・神経疾患リスクの評価:活性型SIGLEC-Xホモ接合体を持つ集団(約10%)は、パーキンソン病の有病率が0%、認知症も0.04%と低リスクであった。
・多様な疾患との関連を特定 日本人に特徴的な7つのSIGLEC多型が、胆石・心筋梗塞・脳梗塞・自己免疫疾患などの発症リスクと強く関連していることが判明した。
Partnering Model
大阪大学では、本技術の特許ライセンスをベースとした認知症・パーキンソン病リスクを診断する遺伝子検査サービスの開発をしていただける企業様を探索しています。
また、シグレックの多型や機能の解明データを基にした 精神疾患治療薬開発に関心のある製薬企業様との共同研究も歓迎します。研究者との直接の面談も可能です。
Background and Technology
社会的背景と課題:認知症や生活習慣病を含む多様な疾患に対し、発症前の段階で個人のリスクを評価することは、効果的な予防介入や早期治療につながり、健康寿命の延伸に寄与することが期待される。
免疫受容体「シグレック(SIGLEC)」に着目:免疫系の制御のみならず、多くの器官に発現しているシグレックの遺伝子多型と広範な疾患リスクと関連を解析した。
大規模データを用いた解析:東北メディカル・メガバンク(TMM)の約3.8万人規模のコホート解析により、日本人集団の約10%が持つ「SIGLEC-Xの活性型ホモ接合体」が、パーキンソン病や認知症の発症リスクが低いことが明らかになった。
検査技術と創薬への応用:この遺伝子多型は血液や唾液を用いた遺伝子検査で簡便に判定でき、健康な段階でのリスク層別化を可能にする。また、シグレックの機能不全が疾患発症に関わることから、その機能回復を目指す新規治療薬開発の基盤としても期待される。
多様な疾患への適応拡大: シグレックファミリー全体(SIGLEC4, 6, 10等)の解析により、遺伝子多型が胆石、心筋梗塞、脳梗塞、膠原病といった生活習慣病や自己免疫疾患のリスクとも強く関連していることを特定しており、幅広い疾患リスク予測への拡張が可能である。
Principal Investigator
井ノ口 仁一 教授(大阪大学大学院理学研究科 フォアフロント研究センター)
Patents and Publications
特許出願中(未公開)