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脳波データに基づく新規バイオマーカー

脳波計測データから、脳の状態をダイレクトに反映する固有周波数成分を抽出する新規解析手法を開発。脳の固有周波数は、認知症やパーキンソン病などの神経疾患の診断や、脳の老化度などを示すバイオマーカーとしての活用が期待される

利点

- 断続的・短時間の脳活動も反映可能な、新しいタイプのバイオマーカー
- 前頭部や後頭部といった局所的な脳活動だけでなく、脳全体のネットワークとしてのつながりや関係性も同時に解析可能
- 本解析手法は、固有周波数成分を高速に抽出
- 脳波に限らず、様々な時系列信号データへ適応可能であらゆる振動現象の識別も期待できる。

研究背景と技術

脳活動における「固有周波数」とは、神経細胞や神経ネットワークが自然に生み出す電気的振動がもつ周波数のことである。単一ニューロンから脳全体のネットワークまで多様なスケールで存在し、0.05 Hz 程度の極低周波から数百 Hz に至るまで幅広く分布する。固有周波数は、覚醒/睡眠、休息/集中といった脳の状態変化に応じて変動し、認知症やパーキンソン病、てんかん、慢性疼痛などの神経疾患では、疾患に特徴的な変化を示すことが報告されている。
一方で、実際の脳活動は複数の固有周波数が複雑に組み合わさっており、時間とともに状態が切り替わったり減衰したりする「非定常」な動きを示す。従来のフーリエ変換は、脳活動を「定常的」とした前提で信号処理するため、脳が実際に発している微細な固有周波数の変化やシフトを正確に捉えることが困難であった。
本研究グループは、動的モード分解(DMD)を用いた脳情報解読方法の改良を進め、複雑な脳波時系列データから連続的な固有振動数分布を抽出する手法を確立し、脳活動の新たなバイオマーカー候補となることを見出している。

特許と論文

- PCT/JP2024/036766(移行国:日、米)
https://patentscope2.wipo.int/search/ja/detail.jsf?docId=WO2025109908
- Fukuma R, et al. arXiv [Preprint]. 2025 Jul 14. arXiv:2507.10145. doi:10.48550/arXiv.2507.10145.
https://arxiv.org/abs/2507.10145

筆頭研究者

栁澤 琢史 教授 (大阪大学大学院医学系研究科) 

データ

- 健常者と認知症患者(アルツハイマー病(AD)・前頭側頭型認知症(FTD))の脳波比較において、本手法によりFTD患者で固有周波数分布のシフトが確認されている。さらに、この分布を特徴量として用いることで、従来のフーリエ変換ベースの特徴量より高い分類精度を達成し、特にADとFTDの誤分類を大きく減少させた。
- 健常者とパーキンソン病(PD)患者の脳波比較においては、本手法によりPD患者でアルファ帯域のピーク周波数が12〜13 Hzから8〜9 Hzへ低下するという微細な変化を検出した。さらに周波数分布を特徴量として用いることで、従来のフーリエ変換よりも高い分類精度を示した。

パートナリング

本解析手法を活用した脳活動計測および疾患診断技術の実用化に関心を有する企業を探索しております。企業が保有する脳波計・計測プラットフォームとの組み合わせによるコラボレーションも歓迎いたします。ご関心がございましたら、追加情報の提供や、次のステップとして本件研究者との面談の機会を提案いたします。

プロジェクト番号:tt-04760b