Advantages
- 従来困難であった分岐型ユビキチン三量体を可溶な状態で取得可能
- 分岐構造・鎖長を制御した均一定義体の調製が可能
- 脱ユビキチン化酵素(DUB)・ユビキチン結合ドメイン(UBD)・タンパク質分解創薬(TPD)研究への応用可能性
Current Stage and Key Data
従来法では困難であった高純度かつ高い溶解性(約1.4–1.5 mg/mL)を維持した分岐鎖(三量体)の精密合成と取得
予察の化学合成アプローチでは、目的の分岐型ユビキチン三量体が凝集・不溶化し、均一な生成物として取得することが困難でした。一方、本技術による分岐鎖合成では、目的の分岐型ユビキチン三量体は可溶かつ安定な状態で取得され、明確な凝集は確認されませんでした。さらに、目的タンパク質と不純物との分子量差を利用した限外濾過精製により、目的生成物を効率的に精製することに成功しました。 実際に、分岐型ユビキチン三量体は約1.4–1.5 mg/mLの濃度で可溶な状態を維持していました。これらの結果は、本技術が従来法では調製困難であった分岐型ユビキチン三量体を、高純度かつ可溶な状態で取得可能であることを示しています。
Development Phase
現段階:分岐鎖ユビキチン三量体について、可溶な状態での精密合成および高純度精製を実証。また、CDスペクトル測定により、構造評価も進めています。
次段階では、理論上存在する複数の分岐構造を有するユビキチン三量体への展開を進め、分岐型ユビキチン鎖を構造規定された均一体として供給可能な技術基盤の構築を目指します。
さらに、本技術を基盤として、以下の展開を進める予定です。
① 分岐型ユビキチン鎖標品の提供
② 分岐型ユビキチン鎖の合成・供給技術の展開
③ DUB/UBD解析や標的タンパク質分解(TPD)研究への応用
④ タンパク質分解剤の評価・スクリーニングを目的とした共同研究
現在、分岐型ユビキチン鎖の利用、標品供給、創薬研究への応用、ならびに共同研究・共同開発に関心を有するパートナー企業様を募集しております。まずは技術内容に関するディスカッションから開始できれば幸いです。
Background and Technology
生命維持を支えるユビキチン・プロテアソーム系において、複数のユビキチンが複雑に連結した「分岐型ユビキチン鎖 (分岐鎖)」は、従来の直鎖型とは異なる生体機能を示すことが近年明らかとなってきています。特に、タンパク質分解制御やシグナル伝達などへの関与が報告されており、次世代創薬の重要な研究対象として注目を集めています。
一方で、結合位置や鎖長を厳密に制御した分岐鎖は、凝集や不溶化を生じやすく、高純度かつ均一体として調製することが困難でした。また、既存の酵素的調製法では、利用可能な酵素の基質特異性に依存するため、調製可能な分岐構造の組み合わせが限られていました。その結果、機能解析や創薬研究に必要な分岐型ユビキチン鎖を十分量かつ高純度に供給することが難しく、分岐鎖研究を進める上で大きな技術的障壁となっていました。
本技術は、独自のハイブリッド合成戦略により、従来困難であった分岐型ユビキチン三量体を、可溶な状態で高純度に取得可能とするものです。さらに、本技術は、理論上存在する28種類の分岐型ユビキチン三量体への展開可能性を有しており、分岐鎖を構造規定された均一体として供給可能な技術基盤となることが期待されます。これにより、ユビキチンコード解析、DUB/UBD解析、さらには標的タンパク質分解(TPD)研究における新規評価基盤としての応用が期待されます。
Principal Investigator
国立大学法人静岡大学 工学部化学バイオ工学科 教授 鳴海哲夫