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肝細胞癌の薬剤選択パネル検査

奏効率に課題がある肝細胞癌一次治療において、デュルバルマブ/トレメリムマブおよびアテゾリズマブ/ベバシズマブ併用療法の奏効と予後を血中のTWEAKにより予測。他のマーカーと組み合わせ、マルチキナーゼ阻害薬の適用も含めた薬剤選択パネル検査の開発も可能。

Advantages

(1)複合免疫療法の効果予測と層別化: 治療前の血漿sTWEAK濃度により、デュルバルマブ/トレメリムマブ併用療法の奏効を予測し、アテゾリズマブ/ベバシズマブ併用療法との使い分けを可能にする。
(2)パネル検査への発展性: 本マーカーを基盤とし、他のバイオマーカーと組み合わせることで、複合免疫療法だけでなくマルチキナーゼ阻害薬の適用判断も含めた、包括的な薬剤選択パネル検査としての開発が期待される。

Technology Overview & Background

切除不能進行肝細胞癌の一次薬物療法は、2020年以降、複合免疫療法が中心となっている。現在、抗PD-L1抗体アテゾリズマブと抗VEGF抗体ベバシズマブの併用療法(Atezo/Bev)、および抗PD-L1抗体デュルバルマブと抗CTLA-4抗体トレメリムマブの併用療法(Dur/Tre, STRIDEレジメン)が標準治療として並立している 。しかし、それぞれの奏効率はAtezo/Bevで30% 、Dur/Treで20.1%にとどまり 、全ての患者に有効なわけではない。また、両治療法をいかに使い分けるかという明確な指針(バイオマーカー)が存在しないことが臨床上の課題である。
発明者らは、この課題に対し、血液中に存在する可溶性TWEAK(sTWEAK)タンパク質に着目した。大阪大学関連多施設共同の前向き観察研究(OLF研究)のデータを用いて、ハイスループットプロテオミクス解析(Olink法)を行い、複合免疫療法の治療効果とsTWEAK濃度が治療レジメンごとに異なる相関を示すことを発見した 。具体的には、治療前の血漿sTWEAK濃度が高い患者群では、Dur/Tre療法による無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)が有意に延長した 。一方、Atezo/Bev療法においては、sTWEAK濃度が低い患者群で有意に良好なOSが得られた。
これらの結果から、sTWEAKはDur/Tre療法の正の効果予測マーカーであると同時に、Atezo/Bev療法との最適な使い分けを可能にする治療選択マーカーとなり得る。メカニズムとして、シングルセル解析により、sTWEAKは細胞傷害性T細胞やNK細胞などの免疫細胞から産生されることが確認され、sTWEAK高値は宿主のT細胞の活性化状態を反映していることが示唆されており 、免疫のブレーキを二重に解除するDur/Tre療法が奏効しやすい科学的示唆も得られている。本技術は簡便なELISA法で測定可能であり 、個別化医療の実現による患者予後の向上と、医療経済的な効果が期待される。

Data

複合免疫療法の治療選択マーカーとしての有用性:Dur/Tre療法を受けた患者では、sTWEAK高値群で全生存期間(OS)が有意に良好であった。一方、Atezo/Bev療法ではsTWEAK濃度が低い患者群で有意に良好なOSが得られた。

Patent

特許出願中(未公開)

Principal Investigator

小玉 尚宏 助教 (大阪大学大学院 医学系研究科)

Expectations

大阪大学は、ライセンス契約や共同研究を通じて本技術にご興味のある診断薬企業様との連携を強く希望しています。より大規模な臨床コホートでの検証、カットオフ値の標準化、他のバイオマーカーとの最適な組み合わせの探索、さらには新たな治療標的としてのsTWEAKの可能性など、幅広いテーマでの共同開発を希望します。大阪大学との秘密保持契約締結による未公開データ等の開示のほか、研究者との直接のご面談によるお打合せも可能ですので、ご希望がございましたらご相談ください。

プロジェクト番号:405