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脳波の「複雑さ」を捉えた、超高精度な睡眠ステージ判定AI

熟練者の目視判定と同等の精度を実現。脳波・筋電図解析にかかる時間や負担を大きく改善する、睡眠ステージ判定AI。測定機器を問わず導入でき、解析ソフト・創薬研究の効率化・高品質化を提供。

Advantages

・専門家レベルの判定制度:睡眠研究の専門家が厳密にラベル付けした高品質な教師データを用いて学習したAIモデルを構築。熟練者の目視判定とほぼ一致する超高精度なステージ判定を可能に。
・自然な判定結果:脳波が持つ複雑性を解析する新アルゴリズムと、病的なステージ遷移を見逃さない独自の補正アルゴリズムを搭載。高精度でありながら、睡眠構築の異常を見逃さない判定を実現。
・測定機器に依存しない高い汎用性:デバイス特有のノイズや癖の影響を受けにくい。アンプやセンサ等の種類・メーカーを問わず、多様な測定環境下で安定した判定を可能。

Background and Technology

睡眠研究や創薬において、脳波・筋電図をもとに睡眠ステージ(レム睡眠、ノンレム睡眠、覚醒)を判定する作業は不可欠である。しかし、現場では熟練の専門家による目視判定がいまだ行われ、人的ミスや解析結果のバラつき、そして膨大な労働量という、効率面と客観性の課題がある。近年は自動判定技術が現れつつあるが、判定に疑問がつくことがあり、結局は人間の判断が必要となってしまう。
筑波大学WPI-IIIS(国際統合睡眠医科学研究機構)の櫻井武教授らは、これらの課題を解決するため、自らが長年の研究で取得した高品質な教師データと、それらデータを「複雑性解析」を用いて抽出した特徴量を使って学習した、睡眠ステージ判定AI「S.A.C (Sleep Analyzer Complex)」を開発した。S.A.C.は、専門家による目視判定と遜色ない極めて高い精度で、睡眠ステージを自動判定する。その結果、睡眠解析の質を保ったままに解析者の負担軽減を実現でき、睡眠研究の加速に貢献することが期待される。
「S.A.C.」の技術的な特徴は以下のとおり。
・【複雑性解析】 5つの周波数帯域に分離した脳波データに複雑性解析(※)を適用することで、従来手法で見落とされていた脳波が示す不規則性や自己相似性を睡眠ステージの特徴として抽出する。 ※マルチスケール・エントロピー(不規則性)とトレンド除去フラクタル解析(自己相似性)
・【病的な異常を見逃さない】 疾患などに起因する不自然なステージ遷移を勝手に“正常化”することなく、高精度に判定できる独自の補正アルゴリズムを搭載した。これにより、病的な睡眠構築を正しく捉えることができる。
・【オーソライズされた学習データ】 筑波大学WPI-IIISにて専門家が厳密に評価・ラベル付けした、信頼性の高いデータセットを用いた。

Current Stage and Key Data

【Current Stage】
研究用ソフトウェアを開発し、実験動物(マウス・ラット)を対象とした研究に活用中。
【Key Data】
・野生型マウスの脳波・筋電図データを用いた評価において、専門家の目視判定との一致率が、98%以上の極めて高い精度を達成した。
・レム睡眠は睡眠段階の中でも最も自動判定が難しく、既存AIモデルが長年苦戦してきた領域である。既存手法(SPINDLE類似モデル)で頭打ちだったレム睡眠の再現率を、S.A.C.は約2.3ポイントと劇的に改善した。
・睡眠構築(睡眠のパターンや流れ)に異常を持つ疾患モデルマウス(ナルコレプシーモデルマウスなど)への適用試験において、覚醒状態からレム睡眠へと直接移行する異常なステージ遷移(SOREM)を高い精度で正確に検出するという、画期的な成果を達成。
・マウス1匹の24時間分のデータ解析において、長時間の目視作業を、自動解析90分と目視確認15分に、劇的に短縮した。
・複数の異なるメーカーの脳波測定機器で得た脳波を本技術で解析したが、判定結果にメーカーの違いはほとんどなく、本技術が汎用的に利用できることを確認した。

Expectations

筑波大学では、本技術を活用した事業化にご関心のある企業様を探しています。例えば、以下のような事業・製品への展開を想定しています。
・動物実験用脳波計・解析ソフトへの組み込み:貴社の生体信号測定システムや解析ソフトウェアに本AIを実装することで、自動かつ信頼性の高い睡眠ステージ判定機能を追加し、製品の付加価値を劇的に高めます。
・睡眠関連の製薬創薬での利用:新薬の開発プロセスにおいて、膨大な量の脳波解析を自動化・効率化し、開発期間の短縮、人件費などのコスト削減、およびヒューマンエラーの排除に貢献します。

事業化をご希望でしたら、本技術の特許およびソフトウェアについてライセンスをご相談できます。また、技術の導入過程や事業化に向けた開発段階では、共同研究契約などを通して、必要な知見・アドバイスを大学から提供いたします。本格的なご検討の前に詳しいお話をご希望でしたら、お気軽にお問い合わせください。

Principal Investigator

櫻井 武 教授 (筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構 WPI-IIIS)

Patents and Publications

特許出願:WO2025/013824A1(PCT/JP2024/024606)
論文:Utility of complexity analysis in electroencephalography and electromyography for automated classification of sleep-wake states in mice
https://www.nature.com/articles/s41598-024-74008-0

プロジェクト番号:da-04860