Advantages
■ 不要な外科手術の削減: 感度100%を維持しつつ、約24%の患者で不要な追加手術を安全に回避可能
■ 実証済みの高精度予測: 4,000例超の大規模多施設データで学習・検証され、従来手法を上回る精度(AUC 0.83)を達成。
■ 開発リスクの低さ: アルゴリズム開発は完了しており、研究用アプリも稼働中であるため、薬事承認プロセスへスムーズに移行できる。
Background and Technology
早期胃癌の治療において、患者への体力的負担が少ない内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)が広く普及している。しかし、切除した病理組織の検査結果で「根治度C-2(転移リスクあり)」と判定された場合、リンパ節転移の可能性を考慮し、胃の追加切除(外科手術)が推奨されている。ところが実際には、追加切除を行ってもリンパ節転移が見つかるのはわずか8%に過ぎず、10人中9人近くが「不要な外科手術」を受けているのが現状である。リンパ節転移リスクの層別化を行う既存のスコアリングシステム(eCura system)ではこの予測精度に限界があり、見逃しを防ごうとすると不要な手術を十分に減らすことができなかった。
本技術は、4,042例の大規模な臨床データを用い、機械学習(ニューラルネットワーク)によってリンパ節転移リスクを高精度に予測するAIアルゴリズムである。病変サイズ、深達度、組織型など7つの臨床病理学的因子を入力するだけで、各因子の複雑な相互作用をAIが解析し、患者一人ひとりの転移確率を即座に算出する。本AIモデルは、「見逃しゼロ(感度100%)」という極めて安全性の高い基準を維持したまま、全体の24%の患者に対して「追加手術不要」と正確に判定(特異度24%)することに成功した 。これにより、安全に手術を回避できる患者を正確に層別化し、医師と患者による最適な治療方針決定を強力に支援することが可能となる。
Data
■ 4,042例の早期胃癌患者データを用いて検証した結果、従来技術の予測精度(AUC 0.77)を有意に上回る高い予測精度(AUC 0.83)を達成した(図1)。
■ 「リンパ節転移の見逃しをゼロ(感度100%)」に設定したシミュレーションにおいて、従来技術では回避できる手術が0%だったのに対し、本技術では24% の患者で不要な追加手術を安全に回避できることが証明された。
■ 現在、本技術を用いたアプリが研究用途限定で公開中(https://www.med.osaka-u.ac.jp/pub/gh/egc-lnm-prediction.html)(図2)
Partnering Model
本技術は、研究用途限定のWebアプリケーションとして既に公開・稼働中です。
大阪大学では、本技術をデジタル医療機器として薬事承認取得まで共同開発していただける企業様を募集しています。大阪大学との秘密保持契約の締結による未公開データの開示や、研究者との面談も可能ですのでお気軽にお問い合わせください。
Principal Investigator
林 義人 講師 (大阪大学 大学院医学系研究科 消化器内科学)
Patents and Publications
■ 特許:出願中(特開2025-019871)
■ 論文:Kato M, et al, Gastric Cancer. 2024 May 25;27(5):1069–1077.
[DOI] https://doi.org/10.1007/s10120-024-01511-8