Advantages
- 生体試料に代表される柔らかいサンプルに対し、高精度のフォースマッピング測定が可能
- 既存AFMの機構はそのままで、本発明手法のモードに切り替えることで容易に対応が可能
Technology & Background
AFM(原子間力顕微鏡)は、サンプルの表面形状をナノスケールで可視化する装置として広く用いられているほか、サンプル表面近傍の力学特性を測定するフォースマッピング装置としても利用されている。フォースマッピングでは、AFMのカンチレバープローブのサンプルに対する押込力を一定とすることで押込量を測定し、サンプルの弾性率(硬さ)を解析する。そのため、表面の弾性率が不均一なサンプル(例えば細胞など)を測定する場合には、プローブの押込力に対して部位ごとにプローブの押込量が大きく異なることとなり、サンプルへの悪影響(ダメージ)があったり、力学物性測定値の精度が低下したりするという問題があった。
この問題の解決のために、押込力ではなく、押込量を一定に制御し測定するマッピング手法が望まれている。押込量の評価には、通常、プローブとサンプル表面との接触位置(コンタクトポイント)の情報を必要とするが、細胞など柔らかいサンプルの場合にはコンタクトポイントを高精度に評価することが出来ないため、結果的に弾性率の測定精度の低下につながることから、未だ押込量を一定に制御することはできていなかった。
そこで本研究者らは、コンタクトポイントの情報を用いずとも、押込量を一定に制御することが可能な新たな手法を考案した。具体的には、あるフォースカーブ測定の際の任意の点における押込力(F1)とその際の押込量(δ1)、および押込力の最大値(Fmax)が得られる点での押込量(δmax)の情報を基に、それら押込量の差分の値(Δδ)と、それぞれの位置での押込力の比の値(F1/Fmax)から、これらAFMで実測可能な値のみで δmaxを算出する。このようにして得られた δmax の値を、以降のフォースカーブ測定の際にも適用するようなフィードバック機構をプログラムすることで、押込量を一定値(δmax)に制御したままフォースマッピングが可能となる。なお、本手法は従来のAFMの装置構成のままで、測定モードのみを変更するだけで対応できる。
Key Data
- 正立光学顕微鏡に、カンチレバー、フォトディテクタ―、水浸対物レンズ、レーザー光源、ピエゾステージ、デジタルピエゾコントローラーを組み合わせた、自作のAFMを準備し、本発明の検証に用いた。
- イヌ腎臓尿細管上皮細胞(MDCK細胞)が敷石状に播種された単層上皮細胞を測定サンプルに用い、従来の押込力を一定とした場合と、本発明の押込量を一定に制御した場合とで、AFMフォースマッピング測定を行い、それぞれの結果を比較したところ、本発明手法の有効性が確認できた。
Expectations
テックマネッジ株式会社では、北海道大学からの委託により、本発明のライセンス導入による製品化・実用化をご検討いただける顕微鏡開発企業様を探しています。前述のNDA締結による未公開データ等の開示のほか、研究者との直接のご面談によるお打合せも可能ですので、ご希望がございましたら何なりとご相談ください。
Principal Investigator
岡嶋 孝治 教授(北海道大学 大学院情報科学研究院)
Patents & Publications
Patents:
- 特開2025-183175
Publications:
- 論文投稿準備中