Advantages
- FAPαを単なる標的ではなく切断酵素として利用する新しい分子設計コンセプト
- 本基質型化合物は、高い腫瘍集積を実現
- 腫瘍間質を減弱させることで腫瘍内への薬剤浸透性を高めるとともに、腫瘍微小環境の免疫抑制状態の改善も期待される
Current Stage and Key Data
Current Stage
臨床像に近い膵がんモデルおよび肉腫モデルを用いた動物実験において、高い腫瘍集積能および顕著な抗腫瘍効果を確認。
Key Data
膵がんモデルマウスに[211At]標識基質薬(FAP-7)を投与した結果、従来の阻害型化合物(FAP-2)と比較して腫瘍集積率が約3倍向上した。
さらに、その最適化誘導体においては、10 %ID/gを超える高い集積を確認した。
骨肉腫モデルマウスにおいて、基質薬型化合物を投与した結果、従来の阻害型化合物を大きく上回る腫瘍増殖抑制効果を示した。
Background and Technology
膵臓がんやトリプルネガティブ乳がんなどの難治性がんでは、腫瘍の周囲が線維性間質で厚く覆われており、この間質が薬剤浸透を阻害する「物理的バリア」となり、治療抵抗性と予後不良の一因とされている。この線維性間質を構成するがん関連線維芽細胞には線維芽細胞活性化タンパク質α(FAPα)が特異的に高発現しており、FAPαを標的とした薬剤開発が世界中で進められてきましたが、初期の治療成績は十分とはいえません。現在臨床開発が進行している多くのFAP標的薬剤は「阻害型(結合型)」であり、腫瘍内部のがん細胞への移行性が不十分であることが、治療効果を制限していると考えている。
そこで本研究グループは、FAPαを単なる標的分子としてではなく切断酵素として利用する基質型薬剤を設計しました。本技術は、FAP親和性部位と、がん細胞で高発現するトランスポーターに取り込まれやすいα線放出核種アスタチン(211At)標識化合物を連結したものである。本基質薬が線維性間質に到達するとFAPαによりペプチド鎖が切断され、遊離した211At標識アミノ酸ががん細胞内へ選択に取り込まれる。これにより、バリアとして働く線維性間質を破壊しつつ、がん細胞内部から直接α線を照射するデュアルターゲティングが可能となり、従来の阻害型FAP標的薬を上回る治療効果が期待される。
Principal Investigator
白神 宜史 招へい准教授(大阪大学 放射線科学基盤機構)
兼田 加珠子教授 (大阪大学 放射線科学基盤機構)
Patents and Publications
特許出願中(未公開)
Partnering Model
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