Advantages
● 従来は約15時間を要した溶媒抽出や減圧乾燥などの複雑な工程をペーパー上で統合し、分析前処理を50分以内へと劇的に短縮。
● 遠心分離機等の大型装置や熟練技術を要さず、紙の上での洗浄・誘導体化のみで完結するため、試料ロスを防ぎ誰でも安定した前処理が可能。
● 10 μL以下の極微量検体から標的物質を選択的に吸着・濃縮でき、歯科診断や小児・在宅医療など検体採取の負担軽減が求められる現場に好適
Background and Technology
GC-MS分析の前処理は、溶媒抽出や長時間にわたる減圧乾燥、誘導体化などの煩雑な工程を要し、迅速な診断における最大のボトルネックであった。
本技術は、セルロース繊維にクエン酸やキトサン等の官能基を高度に修飾した機能性デバイスである。検体吸引と同時に標的物質を選択的に吸着し、紙の上で洗浄・誘導体化を完結。従来の抽出・乾燥工程を完全に排除した、極めてシンプルな分析ワークフローを実現する。
Data
●信頼性の高い定量分析を可能にする優れた直線性(図2:定量性評価)
標的物質の添加量とピーク面積において、決定係数 R² > 0.99 という極めて高い直線性を確認。単なる成分検出に留まらず、生体試料中の代謝物量を正確に数値化することが可能。
●ピコグラム単位の微量成分を捉える超高感度分析(図3:感度評価)
検出下限(LOD)はグリシン 0.65 pg、2-イソプロピルリンゴ酸 0.51 pgを達成。1滴(数mL)に満たない極微量の体液からでも、疾患指標となる代謝物を確実にとらえる
●実試料(唾液)を用いた臨床応用への適応力(図4:実用性評価)
実際の唾液試料を用いた試験において、乳酸や各種脂肪酸などの有機酸を迅速に検出。タンパク質等の妨害成分が多い複雑な生体試料でも、前処理ツールとして十分に機能することを立証済み。
Expectations
分析業務の抜本的な高速化は、事業競争力を決定づける核心的な要素である。本技術の実装により、前処理という長年の課題を解消し、次世代の分析ソリューションを共に創出するパートナー企業を募集している。
▼診断・分析装置メーカー:即時診断の実現と新市場の創出
サンプリングから30分以内での「即時診断」を製品価値の核に据える可能性を探る。歯科診断、POC検査、モバイル分析装置などの領域において、新たな付加価値の実装を共に目指す。
▼臨床検査ラボ・受託機関:スループットの向上と収益性の改善
一晩を要していた工程を50分以下へ短縮し、検査スループットを最大化する可能性。人件費や試薬コストを劇的に削減する、次世代の検査ワークフローの構築を検討します。
▼材料・環境関連企業:用途特化型デバイスの共同開発
標的物質(疾患マーカー、環境汚染物質等)に最適化した官能基のカスタマイズ。特定のニーズに合致した、高機能サンプリングデバイスを共同で開発する可能性を追求します。
Principal Investigator
大須賀 潤一 (大阪大学, 大学院理学研究科, 特任研究員)
Patents and Publications
特願2024-088075