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LAT1標的化合物デザインのためのボロン修飾α-メチルチロシン

LAT1が基質として認識するアミノ酸構造を維持したまま、ボロン酸エステルを導入した新規化合物で、LAT1を標的とする様々な用途でのビルディングブロックとしての利用が期待される

Advantages

- 多くの悪性腫瘍でLAT1が高発現しており、αメチルチロシン誘導体は腫瘍に対してLAT1を介し、高選択的に取り込まれる
- LAT1標的プラットフォームとしての拡張性:ボロン酸ピナコールエステル導入体(Bpin‑AMT)は、放射性核種標識によるセラノスティクスに加え、BNCT用ボロンキャリア前駆体や低分子抗腫瘍薬・PDT分子との結合によるLAT1利用DDSキャリアへの展開も期待されるビルディングブロック

Current Stage and Key Data

 Current Stage
- マウス移植腫瘍モデルにおいて211At-AAMTの治療効果(PoC)を取得済み(PANC-1膵がんモデル等)
- Bpin-AMTを用い211At、131Iを安定条件下で高効率に標識。
 Key Data
- PANC-1担癌マウスに211At-AAMTを単回投与(1 MBq)した結果、およそ2か月にわたり腫瘍増殖抑制効果を確認し、体重への影響は認められず、安全性の指標も良好であった。
- 211At-AAMTのマウスにおける体内分布データも取得済み

Partnering Model

大阪大学では、本ビルディングブロックを活用したLAT1標的化合物の創出に関し、共同研究や本発明のライセンス導入にご興味がある企業を探索しております。
特に、以下の領域にご関心のある製薬企業・バイオテックとの連携が想定されます。
・放射線・核医学(TAT、RI診断薬、RI治療薬)
・低分子抗がん剤・分子標的薬
・PDT(光線力学療法)・光感受性分子
ご興味ございましたら、研究代表者との技術ディスカッションの面談をアレンジいたします。

Background and Technology

L‑型アミノ酸トランスポーター1(LAT1)は、中性アミノ酸を輸送するアミノ酸トランスポーターの一種である。 がん細胞は増殖のために多量のアミノ酸を必要とするため、肺がんや膵がん、悪性黒色腫など多くの悪性腫瘍でLAT1が高発現していることが報告されている。 一方で、多くの正常臓器ではではLAT1の発現は低レベルにとどまる。 さらに、LAT1高発現は腫瘍の悪性度や予後不良と相関することも報告されており、有望な創薬ターゲットとして開発が進められている。
α‑メチルチロシン(AMT)はチロシン誘導体であり、がん細胞で高発現するLAT1に対して高い親和性を有することが知られている。 特にFAMTなどのα‑メチルチロシン誘導体は、LAT1を介して選択的に輸送され、LAT2など他のアミノ酸トランスポーターにはほとんど輸送されないことが示されており、腫瘍への高い選択性に寄与している。 一方で、AMTに放射性核種を標識する際には、従来水銀との交換反応に依存した標識法が用いられており、製造時の安全性、収率のばらつき、生成物の安定性などが課題となっていた。
本技術は、前述の課題を解決することを目的として開発された、ボロン酸ピナコールエステル(Bpin)基を導入した新規化合物である。Bpin基を活用することで、211Atだけでなく治療用・診断用ヨウ素などの放射性核種を、安全かつ高効率に水系条件で標識することが可能となる。 さらに、Bpin基はBNCT用ボロンキャリアの前駆体としてB(OH)2 へ変換し得るだけでなく、低分子抗がん剤や光線力学療法(PDT)用光感受性物質などをAMT骨格に結合させるためのビルディングブロックとしても活用が想定される。 これにより、LAT1を標的とした多様な放射性医薬品およびDDSの創薬開発に展開し得るプラットフォーム技術としての活用が期待される。

Principal Investigator

白神 宜史 招へい准教授 (大阪大学 放射線科学基盤機構) 

Patents and Publications

Patent:  PCT/JP2022/013808 (日、米、欧、中に移行)
Publication:Kaneda-Nakashima K, et. al., Cancer Sci. 2021;112(4):1512‑1522. doi:10.1111/cas.14761.

プロジェクト番号:tt-03678