Advantages
■ 卓越した微小環境改善効果: プロ腫瘍的なM2マクロファージを抗腫瘍的なM1型へ極性転換させ、T細胞の浸潤を強力に促進する。
■ 免疫チェックポイント阻害剤との高い親和性: PD-1抗体との併用により、単剤では達成できない顕著な相乗的腫瘍抑制効果を発揮する。
Background and Technology
がん免疫療法において、腫瘍内マクロファージ(TAM)を免疫抑制型のM2から、一酸化窒素(NO)を放出し、抗腫瘍活性を持つ活性型のM1へ転換(リプログラミング)させる戦略が注目されている。L-アルギニンは、M1型では酵素iNOSによりNOを産生するが、M2型ではアルギナーゼにより腫瘍増殖を助長する物質へと代謝される。 NOは低濃度では血管新生を促進し腫瘍増殖を助長する一方、高濃度でがん細胞を死滅させるという「二相性」を持つ。 したがって、治療には腫瘍局所でiNOS代謝を優位にし、かつNOを高濃度に維持する精密なデリバリーが不可欠であるが、これまで有効な手段は存在しなかった。
本発明者は、アルギニンの供給源として、プラス電荷のポリアルギニン・PEGブロックコポリマーとコンドロイチン硫酸を自己組織化させた、粒径約43nmのポリイオンコンプレックス(PIC)ミセルによってこの課題を解決することに成功した(図a)。本PICは静脈投与後、EPR効果により腫瘍組織へ選択的に集積する。取り込まれた先で酵素反応によりL-アルギニンを徐放し、iNOS代謝を介して高濃度NOを持続生成することで、がん細胞の直接殺傷と免疫細胞の浸潤を促進する。さらにPD-1抗体との併用により、TAMをM1型へ強力にリプログラミングし、腫瘍組織をColdからHotな状態へ転換することで、劇的な抗腫瘍相乗効果を発揮することが期待される。
Data
・ C26担癌マウスにPICを投与したところ、総投与濃度に比例して血清中のNO濃度が上昇することを確認した。
・ C26担癌マウスにPICを投与(総投与量64 mg/kg L-アルギニン)したところ、有意な腫瘍成長抑制を示し、PD-1抗体との併用により相乗効果が確認された(図A)。
・ C26担癌マウスにPICとPD-1抗体を併用して投与し、その腫瘍組織から調製した単一細胞懸濁液をフローサイトメトリーにより分析した結果、PICが腫瘍内へのCD8+ T細胞の浸潤を劇的に増大させ(図B)、PD-1抗体の併用でM2型(CD206⁺)優位から活性型のM1型(CD86⁺)が優位にシフトさせたことを確認した(図C、D、E)。
Expectation
筑波大学では、本技術を実用化していただけるパートナー企業を探しています。
・ 提供可能: 評価用ミセルの提供(MTA)
・ 連携形態: 共同研究、ライセンス、技術指導
発明者との面談も可能ですので、お気軽にお問い合わせください。
Principal Investigator
長崎幸夫 筑波大学数理物質系 名誉教授
Patents and Publications
Patent: US10155009B2
Publication: SCIENCE AND TECHNOLOGY OF ADVANCED MATERIALS, 2025, VOL. 26, NO. 1, 2538430
https://doi.org/10.1080/14686996.2025.2538430